地域音楽コーディネーター 鳴門教育大学 専任講師 サクソフォニスト 徳島県 日下瑶子さん
- ■活動テーマ:
- おとのWA-誰でも参加できる音楽会を目指して-
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2016年~現在
- ■場所:
- 徳島市内のホール、児童発達支援・放課後等デイサービス(東京都立川市)他
- ■対象:
- 子どもを中心として全年齢層
- ■活動内容
1.きっかけ
私が主宰する「おとのWA音楽会」は2023年から開始しました。この活動は以前東京で大学院同期のピアノ、打楽器の仲間と私のサックスで演奏グループ「Le jouet(ル・ジュエ)」を結成し、保育園等で子ども向けの音楽会を実施してきた経験が基になっています。当時メンバーが保育補助として園に関わり、私自身も学校教員として子どもたちと関わっていたりしたこともあり、子どもを対象とした音楽会への意欲やその在り方に問題意識を持っていました。
2.具体的な内容
(1)「おとのWA」の目的
「おとのWA音楽会」の【WA】には参加してくださった方々の輪・和、驚きや、わくわくの「わっ!」などたくさんのWAがあふれる音楽会にしたいという願いがこもっています。なお、この音楽会は日下が主宰し、各地で演奏家や教育や保育を学ぶ学生等とコラボするという新しい形態をとっています。
(2)内容
<第一回>
2023年10月7日(土)に東京都立川市内の児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて関係者限定で開催しました。日下(サクソフォン)と加畑(ピアノ)によるデュオを中心に、最後には音楽経験のある施設職員にクラリネットとチューバで加わっていただきました。プログラムは文部科学省唱歌《虫の声》をメインとし、様々なアレンジで聴いたり、子どもたちが虫の声を創作して演奏に加わったりしました。その他にはイントロクイズや演奏に合わせて即興的なダンスを行いました。
<第二回>
2023年11月26日(日)に徳島県の藍住町総合文化小ホールで日下(サクソフォン)、加畑(ピアノ)、そして鳴門教育大学の管楽器を専攻する学生をメンバーと開催しました。第一回と同様に《虫の声》を中心としたプログラミングです。《虫の声》の活動では、即興的なアンサンブル活動を創出するため、手作り楽器を準備しました。準備した楽器は、1人では音が鳴らない仕組みになっており、2人以上で息を合わせないと奏でることができません。大学生と参加した子どもたち、親子など様々な組合せでのアンサンブルとなりました。
2歳から80代の方まで幅広い層の40名程の参加がありましたが、演奏に参加する、聴く、身体を動かす、パネルシアターを見るなど、様々な参加の仕方ができる活動を構成したことで、参加者それぞれが思い思いに活動に参加する姿が見られました。
以上2回の音楽会は女性研究者ダイバーシティー推進共同研究制度(*)の研究「多様な発達段階を対象とした音楽活動の開発」の一環として行なっています。
*1)女性研究者ダイバーシティー推進共同研究制度:この制度は連携9機関内の女性研究者同士が研究代表者、研究分担者として取り組む共同研究に対しての助成で、女性研究者のリサーチマインドを高め、地域や社会の問題・課題解決につながる優れた研究成果の持続的創出をはかることを目的としたものです。
(3)子どもたち、保護者の反応
アンケートからは、初めは子どもを連れて行って良いのか不安だったが、楽器を鳴らすことができたり、パネルシアターなどの視覚的な仕掛けなどを楽しめたとの声がありました。一人で参加されていた大人の方も、生の演奏や場の雰囲気を味わうことができたと言われていました。子どもたちは、初め恐る恐るでしたが、徐々に積極的に楽器を鳴らしたり、身体を動かしたりしながら参加する姿が見られました。
(4)大学生たちの感想
これまで小学校、中学校での教育実習を経験している学生たちでしたが、今回のような不特定多数の方が集まる場での即興的な活動への参加は初めてでした。参加者の方と関わり、共に音楽ができたことがとてもいい経験になったようです。
3.今後の抱負
自分の生活拠点である徳島はもちろんのこと、「おとのWA音楽会」の活動を全国各地で展開していきたいと考えています。一般公募型だけではなく、施設単位での音楽会など様々な形態で進め、地域の方々にとって音楽が身近で誰もが楽しめるものだということを音楽家・地域音楽コーディネーターとして伝えられればと思います。
(2024年3月6日公開)
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