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【活動ノオト】NPO法人「みらいっこ」の活動

(2020年06月25日公開)

生涯学習音楽指導員、地域音楽コーディネーターとして、大府市で活躍している「NPO法人みらいっこ」の理事長、藤根由紀子(ふじね ゆきこ)さんに活動内容を伺った。藤根さんは、23年にわたりヤマハ音楽教室で講師をしていた。講師時代の産休を機に子育て支援の事業を始め、2008年にNPO法人みらいっこを設立した。スタートは音楽だったのだが、大きくビジョンを広げて、保育園の運営を手がけ、さらには知多半島春の国際音楽祭 大府市実行委員長など、地域音楽コーディネーターとして活動の幅を拡げている。


【NPO法人みらいっこの活動】

「NPO法人みらいっこ」は次の3本柱の事業を行なっている。


1つめはいわゆる「子育て支援事業」。コンサートやイベント、講座などを実施している。


2つめは「ひろば提供事業」。これは行政が進める子育て支援事業のひとつで、常設のひろばを開設し、子育て家庭の親とその子ども(概ね就学前の児童及び保護者)が気軽に集い、うち解けた雰囲気の中で語り合い、相互に交流を図る場を提供するというものだ。みらいっこは大府市の業務委託(指定管理)を受け、50人ほど入る支援施設を運営している。そこでは、手遊びやリトミック、交流イベントを実施し、子育て相談などを行なっている。


3つめは「保育事業」で、みらいっこでは保育園の経営をしている。保育園の経営は、行政からの助成金、補助金を得ることができるので、それがNPO活動の資金源になっている。


社員として雇用しているのは20人、賛助会員が5人、応援会員が数百人いる。応援会員は講座やイベントに参加する会員。事業のチケット代が会費がわりになっている。


【活動のきっかけ】

「私が半年ほど産休した時に、教室での子どもたちとのやりとりや母親とのコミュニケーションを復帰後に忘れないようにしたいと思いました。子育てしながら音楽の楽しさを伝えたい、ヤマハでやってきたことを地域の人たちにも見てもらいたいと思いました。それが活動のきっかけです。」


エレクトーン演奏や、母親向けの手遊びやリトミックなどを地元の公民館などで実施した。外に出かけていく機会を作ったら、子育てに悩んでいる母親や子育ての中で友達づくりを求めている母親に多く出会った。その時にこのような場を作ることが面白いと思ったという。


【NPO法人化】

「ちょうど二人目の産休を取得している2002年ごろ、NPO法人にすることを考えはじめました。当時大府市には0歳児から2歳児がたくさんいました。けれども子育て支援に特化している団体があまりありませんでした。たくさんいる子どもたちの行き場がない、遊び場がないというので、まずは遊びの提供をしようと考えました。」


そこで、数人の仲間と、公民館などの公共施設を借りて、地域の子育て家族向けに、”おんがくひろば”という事業名で毎月音楽あそび・リトミック・生演奏や親子カフェを開催した。2007年に大府市が、協働のまちづくり推進基金で、NPO法人の立ち上げ支援を始めたためそれに応募した。10人のNPO立ち上げメンバーを集めて、2008年にNPO法人化した。


最初の3年は立ち上げ支援事業に選ばれたため、さまざまな企業から助成金をもらうことができた。自宅を事務所にし、公民館を回る事業から始めた。1回限りの開催が中心だったのだが、公民館の館長に、他の公民館の館長を紹介してもらい、シリーズ化を提案した。予算が確保でき、3か所の公民館で実施するようになった。その公民館での活動を見学した行政の人から声をかけられ、「ひろば提供事業」の説明を受けた。これは面白いと思い、手を挙げた。


個人として実施しているのではなく、NPO法人化することで、先方のとらえ方が変わる。法人化のメリットはそこにある。一方、NPO法人はボランティアではない。存続のためには資金が必要である。企業や行政の業務委託は安定した資金源でもあり、信頼性を確保するためにも不可欠だ。安心できるシステムを作って雇用も守っていくことが使命だと言う。


【助成金獲得のコツは?】

「自分たちのやりたいことだけを主張するのではなく、募集要項を読んで、着目点、対象や意図を読み解き、それに合わせて申請書を作っていきました。」


助成金を獲得するためには、助成金を出す側のコンセプトに合わせて申請することが肝心だ。自分たちのやりたいことだけでは申請は通らない。NPO法人「音の風」の西野さんも補助金・助成金を申請する際に重要なポイントは助成金を出す側の意図を知ることで、自分たちの主張ばかりをしていてはいけないと、まったく同じことを言っていた。


【行政とかかわる方法は?】

「それは、市役所の人たちと仲良くなることです。いろいろな部署の部長クラスの方とお知り合いになることがとっても大事だと思います。お会いしたら必ず挨拶をし、団体名と名前を言って、覚えてもらうようにしました。」


行政の人たちは市民からの多くの相談を受けている。なかでも問題解決への要望には、とても困っているそうだ。そのため藤根さんは要望だけでなく、解決手段を提案している。その際、提案を3パターンほど用意して、選んでもらえるようにすることが重要だと言う。企画や提案のヒントは、日ごろの市役所の人たちとの世間話の中で、みつけているそうだ。ちなみに生涯学習課に企画提案をした際は、生涯学習音楽指導員であることを伝えた。現在は、地域音楽コーディネーターの認定証カードをもって、市役所や施設などに出向いている。もちろん名刺にも資格名を記載している。


【社会的な弱者への支援】

ヤマハ音楽教室のシステム講師時代にバブル崩壊があり、同じ教育を同じように受けられない子どもがいた。「音楽教室の優秀な子どもが突然レッスンに来なくなったのです。聞いてみたら、親の会社が倒産し、ピアノも抵当に取られて、レッスンが続けられなくなっていたのです。私はまだ若かったのでショックでした。それがいまだに忘れられません。」


才能があり、恵まれた環境があれば、音楽の世界で活躍できたであろう子どもたちが、それがかなわない。手を差し伸べられるなら、そんな子どもたちを助けてあげたい。だから、みらいっこのキャッチフレーズも「未来を担う子どもたちを私たちができることで応援します」としている。


【音楽の力】

音楽はこころを癒してくれる。運動機能障害の子どもたちが音楽で、手が動くようになる。その姿を目の当たりにして、音楽はこころの活力になると思った。高齢者などでは、記憶をよみがえらせてくれる。若い時に聞いた曲を聴くと、そのころの状況を思い出す。活動の中では、「こころのバリアフリー事業」を行なっている。障害の子も健常の子もいっしょに参加して交流するイベントを開催している。


NPO法人を立ち上げ、活動をしている方は強い信念を持ち、積極的に人に会い、バイタリティに溢れている。法人化で社会的な責任も担い、活動を持続化させている。音楽文化創造では、そうした人たちを結び付けて、活動を応援していきたいと考えています。


【藤根由紀子(ふじね ゆきこ)さん】

Q:ご自身の経歴を教えてください。


A:3歳からカワイで習い始め、引っ越してからはヤマハ音楽教室でエレクトーンを習いました。高校からはヤマハの講師試験のために、ピアノを習い始めました。ヤマハ音楽教室には、1990年から2014年までの23年間システム講師として勤めておりました。


Q:好きな音楽を教えてください。


A:好きな音楽はオールマイティですが、好んで聞くのはスタンダードのJAZZです。私は分析するのが好きなので、曲を聴きながら、こんなコード進行でいくのかとか、ここにこんなフィルインを入れるのかなどと考えながら聴いています。



●NPO法人みらいっこ公式サイト
https://onhiro.exblog.jp/



 

※藤根さんは、2020年8月30日に開催される地域音楽コーディネータートライアルオンライン探究講座「B-2 地域音楽活動の秘訣」のオンライン座談会に参加されます。


また、2021年1月31日に開催される地域音楽コーディネーター探究講座東京会場の「B-1 地域音楽活動の秘訣」で講師をされます。


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