音楽文化の創造(CMC)

電子版 Vol.29

2024年7月1日発行

Vol.29 特集「音楽とジェンダー」

2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」いわゆるSDGsの17のゴールの5番には、

「ジェンダー平等を目指して」という目標が示された。

各国ともその実現にむけて様々な取り組みがなされているところである。

我が国においても、旧来からの「ジェンダーイメージ」や「ジェンダーロール」、

「ジェンダーステレオタイプ」といわれる観念を離れ、ジェンダー平等を求める機運が高まってきている。

翻って音楽の世界はどうであろうか。

これまで明らかに男性が多かった作曲家達・職業的音楽家達の

ジェンダーバランスは、この先どう変わっていくのだろうか。

今回の特集は、音楽とジェンダーと題し、音楽にまつわるジェンダーバイアスなどのこれまでとこれからを論じたい。

クラシック音楽とジェンダー

「多様性」はクラシック音楽の救世主になるか?

クラシック音楽とジェンダーにどんな関係性があるのかと訝しく思う人もいるだろう。鳴り響く音そのものにジェンダーはないのだから。しかし、近代ヨーロッパで生まれたクラシック音楽は、実のところ、ジェンダー規範と強く結びついている。そもそも近代…

お茶の水女子大学教授(音楽学)   井上 登喜子

「クラシック音楽とジェンダー 「多様性」はクラシック音楽の救世主になるか?」 より 

アイドルを取り巻くジェンダー・バイアスに向き合う

ポピュラー音楽の中でもアイドルというジャンルは、ジェンダーとの関わりが深い。 まずアイドルと聞いてどんなアーティストを、どんな様子を思い浮かべるだろうか。「アイドル」のステレオタイプとして、女性のみ、または男性のみのメンバーで構成…

慶應義塾大学文学部非常勤講師   上岡 磨奈

「アイドルを取り巻くジェンダー・バイアスに向き合う」 より 

現代日本においてピアノ文化は

「ジェンダー平等」が進んでいる領域か?

西洋クラシック音楽の分野は、一見したところ「ジェンダー平等」が進んだ領域であるかにみえる。活躍する女性音楽家は枚挙にいとまがない。2021年から翌年にかけて行われたある調査によると、音楽大学で教授職に占める女性の割合は38.9%で、オーケス…

桐朋学園大学教授   玉川 裕子

「現代日本において ピアノ文化は「ジェンダー平等」が進んでいる領域か?」 より 

投稿論文

音楽文化政策によるまちづくりの可能性に関する一考察
-大阪府豊中市「音楽あふれるまち・とよなか」の事例を通して-

  

東洋大学国際観光学部 准教授    八木 京子