音楽文化の創造(CMC)電子版 Vol.33

音楽文化の創造(CMC)

電子版 Vol.33

2025年7月1日発行

Vol.33 特集「非認知能力と教育・音楽」

 近年の教育界では、知能検査や学力検査で測定される「認知能力」のみならず、

それらでは測定できない「非認知能力」の育成が一層重視されてきている。

知識や情報が急速に変化し、将来の予測が困難なこれからの社会において、

非認知能力はより重要な役割を果たすものと考えられる。

音楽の学習や教育における「非認知能力」の検討は、

今後の実践において多くの示唆を与えることだろう。

本特集では、「非認知能力と教育」「音楽教育における非認知能力」

「教育実践にみる音楽と非認知能力」「海外の教育における音楽の役割」の

4つの視点を検討のための手がかりとして示したい。

非認知能力の基礎知識と教育における重要性

「近年、「非認知能力」という言葉を耳にする機会が増えている。教育や保育の現場だけでなく、企業の採用活動や人材育成、さらには政策的な文脈においても急速に増加している印象がある。たとえば、就職活動における「主体性」や「協…

早稲田大学文学学術院・教授  小塩 真司

「非認知能力の基礎知識と教育における重要性」 より 

幼児の音楽教育と非認知能力―実行機能に関する基礎研究から―

今から10年前の2015年7月、ノーベル経済学賞受賞者であるジェームズ・J・ヘックマンの訳本『幼児教育の経済学』が出版された1。社会的成功には、IQや学力といった認知能力だけではなく、それ以外の非認知能力も重要であること、ま…

東京学芸大学・准教授  水﨑 誠

「幼児の音楽教育と非認知能力―実行機能に関する基礎研究から―」より 

子どもの世界の文脈と非認知能力の発揮

乳幼児教育における非認知能力への注目が高まった契機は、経済学者ヘックマン1)の研究である。この研究では、アメリカで実施された幼児教育の効果に関わる長期縦断研究が再分析され、教育の効果として顕著であったのは認知能力…

奈良女子大学附属幼稚園  松田 登紀

「子どもの世界の文脈と非認知能力の発揮」 より 

「音楽」が生成する学びの空間
シュタイナー教育にみるピュシスとしての音楽創造

サウンド(音)やミュージック(音楽)を「研究」することは、考えれば考えるほど酔狂なものに思 えてくる。本来ロゴス(言語・論理・理性)では計り知れない領域を覆い、「自然」のミメーシス(模倣) や超自然的世界とのコミュニケ…

東京学芸大学・准教授  小西 公大

「「音楽」が生成する学びの空間 -シュタイナー教育にみるピュシスとしての音楽創造」より 

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