地域音楽 コーディネーター

活動事例 地域音楽 コーディネーター

【事例紹介】音楽と地域をつなぐ架け橋に 奈良発・M’s Sound Factoryの心温まるサウンド

(2026年09月24日公開)

地域音楽コーディネーター 会社員「M’s Sound Factory」の団長 奈良県 島田昌登さん

自主公演演奏会の様子
自主公演演奏会の様子
■活動テーマ:
音楽と地域をつなぐ架け橋に 奈良発・M’s Sound Factoryの「心温まるサウンド」
■目次:
■活動開始時期:
1998年~現在
■場所:
大和郡山市の公共施設 大和高田市「さざんかホール(大ホール)」他
■対象:
近畿エリアを中心とした吹奏楽演奏愛好家

1.きっかけ

学生時代にトランペットで吹奏楽に触れた私は、大人数で音楽を創りあげる音楽の魅力を感じ、社会人になってから地域で吹奏楽の普及を行いたいと考えていたのが原点です。当楽団「M’s Sound Factory」の産声は1998年にさかのぼります。当時、大学の吹奏楽部の後輩たち5人で立ち上げましたが、最初は十分な人数を集めることすら叶(かな)いませんでした。それでも「早く音を合わせたい」という一心で、まずは金管五重奏(*)からスタートを切りました。

*)金管五重奏:トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバの金管楽器を用いた編成

私たちの原動力は、①楽器を吹くのは楽しい!②もっと吹きたい➂活動の幅を広げたいという、ひたすらに純粋な音楽への渇望でした。このような熱い思いをもった音楽愛好家たちが集う工房(Factory)に集うことを目指し、結成から四半世紀がたった今も変わらず活動を続けています。

2.具体的な内容

(1)団名

団名の「M’s Sound Factory」の「M」には「マニアたち」という意味を込めています。マニアとは、決して独りよがりなものではありません。私たちにとってのマニアとは、「音楽に対する深いこだわりを持ち、その理想を仲間とともに実現していく気質(きしつ)」のことです。

(2)M’s Sound Factoryの歩み

  • ・1998年 設立。金管5重奏編成で活動を始める。
  • ・1999年 アンサンブルコンテストに初参加。
  • ・2002年 メンバー50名で初めての吹奏楽コンクールに参加。
  • ・2004年 自主運営による定期演奏会「えむコン」を開催。
  • ・2007年 ポップスコンサートを開催。
  • ・2014年 吹奏楽コンクールにて初の全国大会出場
  • ・2020年 コロナ禍を経てメンバーが激減し活動の危機に陥るが、メンバーの強い結束力で現在も継続

(3)現在の活動内容

現在は、社会人や主婦、学生など、音楽が好きな吹奏楽愛好家たちが奈良県を中心に近畿一円から集まり40名ほど所属しています。練習は週末の土曜夜と日曜昼を交互に週1回。本番前には更に熱を帯びた練習が続きます。主な活動は、自主公演演奏会、コンクールへの挑戦、地域でのイベント出演です。

A.自主公演演奏会

私たちの活動の核となるのが、2004年から始めました年2回の自主公演演奏会です。直近では本年5月17日に無事終演を迎え、次回は12月6日(日)大和高田市の「さざんかホール(大ホール)」にて開催を予定しています。クラシックから耳馴染(なじ)みのある歌謡曲まで、世代を超えて楽しめるプログラムをお届けします。

毎年定期的に開催する中で、常に新鮮な企画を生み出す苦労や、満席にできない悔しさを味わうこともあります。それでも会場で耳を傾けてくださるお客様の笑顔と拍手が、私たちの何よりの原動力です。

B.コンクールへの挑戦

夏の吹奏楽コンクールでは、奈良県代表として関西大会への出場を目指し、団員一丸となって切磋琢磨(せっさたくま)しています。高い目標に向かって音楽を深める、厳しくも豊かな研鑽(けんさん)の場です。

C.地域でのイベント出演

奈良県各地のイベントや商業施設などでも、積極的に演奏を披露しています。地域の皆様の日常空間に、生演奏の感動とぬくもりを直接お届けできることは、地域に根ざす楽団としての大きな喜びです。

3.成果と課題

結成から約25年、団長として最も誇りに思うのは、一度も立ち止まることなく活動を継続できたことです。そして、その情熱への最高のご褒美として、「奈良県の一般バンドとして初の全国大会出場」という歴史的快挙を成し遂げることができました。あのときの感動は、今も団員全員の宝物です。

しかし、順風満帆なことばかりではありませんでした。コロナ禍では団員が激減し、楽団の存続そのものが危ぶまれるほどのどん底も経験しました。皆の懸命な努力で何とか盛り返してきましたが、持続可能な楽団として取り組むべき課題はまだ多く残されています。

4.抱負

これから先、吹奏楽を取り巻く環境は激変していくことが予想されます。M’s Sound Factoryが更に飛躍するためには、自分たちの技術を磨くだけでなく、音楽を通じて地域を巻き込み、吹奏楽の裾野を広げていく使命があると感じています。全世代が演奏者としても聴き手としても、心から音楽を楽しめる社会を目指していければと感じております。

そして今、私が強い危機感と使命感を持って意識しているのが、国が進める「部活動の地域展開」です。県や市町村で解釈が異なり、現場が混乱する中、最も置き去りにしてはならないのは「子どもたちに豊かな音楽体験ができる環境を整えること」です。

「部活動は教育である」という文科省の前提ゆえの難しさはありますが、私たち社会人バンドが「経験と人材」を提供し、行政が「活動インフラの整備と援助」を行う。双方が歩み寄り、共に手を取り合うことでしか、このインクルーシブな社会は創れません。地域の吹奏楽団として、子どもたちの未来にどんな「架け橋」を架けられるか。私たちはこれからも模索し、音楽とともに歩み続けていこうと思います。

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