地域音楽コーディネーター 音楽プロデューサー 東京都 高久弦太さん
- ■活動テーマ:
- ブルグミュラー絵本コンサートWithリュート&カリグラフィ
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2024年5月25日(土)14:00~16:00
- ■場所:
- 横浜市ボヌールサロン102
- ■対象:
- 一般
- ■主催:
- バカンス・ミュジカル
- ■活動内容
1.きっかけ
恐らく、日本で最も愛されているピアノ曲集といっても過言ではないブルグミュラーの『25の練習曲』。ブルグミュラー(1806年ドイツ生まれの作曲家・ピアニスト)と言われてもピアノ指導者・学習者以外ピンとこない方が多いと思います。しかし、この練習曲の中で有名な1曲「アラベスク」のワンフレーズを聴けば昔懐かしい「小学校の音楽室でピアノを弾くあの子の姿」と共に想い出されるのではないでしょうか。
▼アラベスク
2023年末、末永くこの曲集を多くの方に知って楽しんでいただきたいと思い「25の練習曲」一曲一曲の音楽的エッセンスを反映した「25の絵本物語」を作成しました。もともと私たちは、クラシック音楽の裾野を広げることを目的に2021年に仲間とともに音楽レーベル「バカンス・ミュジカル」を設立し、出版は事業の中の一つです。今までの代表的な実績としては「赤とんぼ」などで知られる山田耕筰の未発表のピアノ曲の復刻プロジェクトを実施し、大手新聞社でも大きく報道していただきました。また「エリーゼのために:12のピアノ名曲による音楽絵本」等も発刊しています。今回5月のコンサートは2024年の本年がブルグミュラーの没後150年であることから、本絵本の出版と合わせて企画しました。
2.具体的な内容
(1)コンサート内容
▼当日のコンサートの模様①(『ブルグミュラー絵本』より)
▼当日のコンサートの模様②(リュート作品)
『ブルグミュラー絵本』は出版して瞬く間にアマゾンの「クラシック音楽書」部門でベストセラーとなり、思いもかけず大反響を頂きました。その絵本の魅力をより具体的に味わってほしいと思い「ブルグミュラー絵本コンサート」を企画しました。本コンサートでは、「25の練習曲」より、よく知られた「アラベスク」、「バラード」、「貴婦人の乗馬」などを監修者でピアニストの杉浦菜々子の演奏に、三津田恵子の朗読とイラスト上映付きでお届けしました。また、各物語のタイトルと本文抜粋の英文をカリグラフィーの鈴木みゆきさんに描いていただき、当日展示も致しました。リュート(中世から18世紀に用いられた撥弦(はつげん)楽器)の高久敏春にも賛助出演していただき、ルネサンス(15世紀~16世紀ヨーロッパの音楽)の名曲3曲を同様に物語朗読とイラスト上映付きで披露しました。会場は満席。演奏だけでなく、そこにストーリーと絵が加わったことにより、来場者がイメージを膨らませ楽しんでいただきました。絵本制作者としても主催者としても感無量でした。
企画から発売まで1月ほどで世に送りだすことができた背景には、昨今のAI技術の進歩もあります。本絵本のイラストはすべてAIによる画像生成ですが、この技術によって物語作者の意図を直接的に反映したイラストを早く揃(そろ)えることができるようになりました。「最新技術とのコラボ」という意味でも、新しいチャレンジとなりました。この絵本は、絵本物語から曲想を豊かにイメージすることを意図しており、ピアノ教育現場やコンサートのなどの実演の幅を広げることに寄与することを願って制作しました。この絵本を一つのヒントとして皆様自身、各々イメージを膨らませて自由に発想していただければ、製作者として望外の喜びです。
3.成果と課題
当日は親子連れのご家族、ピアノ教育関係者の方々など多くの方にご来場いただきました。杉浦菜々子の迫力ある演奏、三津田恵子の臨場感ある朗読、高久敏春の幽玄なリュートの調べをご堪能いただき、大きな拍手と笑顔、ご感想を頂けたことがとても励みになりました。当初の想定を超える超満員であったため、すばらしい1点物のカリグラフィーを十分にお見せできるスペースが確保できなかったことなど、反省点がありました。今後は、より大きな会場で再演できればと思っています。
6月には、「かつしか街角クラシック」に日本を代表するヴィブラフォン奏者會田瑞樹さんをお招きして杉浦とともに出演し、葛飾の風情を味わう音楽落語「葛飾見聞録」を初演しました。こちらも満席のお客様に大きな拍手を賜り、「現代の江戸風芝居小屋」のような醍醐味(だいごみ)を出演者一同とともに葛飾の皆様と満喫しました。
▼葛飾見聞録
4.抱負
「音楽絵本シリーズ」はこれまでにブルグミュラー以外に、ドビュッシーの『子どもの領分』、6月に今回の演奏会で採り上げたリュートの絵本物語を収載した音楽絵本『インスブルックよ、さらば』を発売し、7月にリスト作曲『ラ・カンパネラ』を発刊しました。
ブルグミュラー他の作品『18の練習曲』、『12の練習曲』も制作中で、『25の練習曲』で登場したキャラクターたちが帰ってきます。
クラシック音楽は一般の方々にとって、そのすばらしさがすぐにはわからない作品が多いことは事実です。しかし長い歴史の中で淘汰(とうた)に耐えられる奥深さを持っている音楽とも言えます。クラシック音楽文化が、一部の専門家だけの「高尚な趣味」にとどまることなく、より地域に根づくことを目的に様々なアイデアをこれからも生み出していきたいと思います。垣根を越えて広く国民の皆様に愛され、人生を豊かにする糧となることを願っています。
地域音楽コーディネーターや生涯学習音楽指導員として皆さまの活動を掲載しませんか?
活動紹介やイベント告知をご希望の方は、下記のページをご覧ください
音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。
詳しくは下記をご覧ください。