地域音楽コーディネーター ヴァイオリニスト 音あそび代表 東京都 伊藤みや乃さん
- ■活動テーマ:
- 聴衆と演奏者が双方向型で音楽を楽しむ場を作りたい
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2008年~現在
- ■場所:
- 首都圏を中心に全国各地の文化施設・高齢者施設・学校・園・子ども食堂 他
- ■対象:
- 0歳児から高齢者まで
1.きっかけ
私が高校生の頃、遠方に住む曾祖母の入居する老人ホームで誕生日会があり、そこでお祝いとしてミニコンサートをする機会がありました。発表会やコンクールとは異なる空気に驚きながらも、聴衆との距離が近いことで、リアクションを肌で感じながら演奏できることに楽しさを見いだしました。
大学進学後、様々な場所で演奏を行う中で、聴衆が「より楽しめる」のは、演奏をじっと聴くだけでなく、演奏に合わせて歌ったり、手拍子したりと、演奏に自分も参加できたときなのではないかと気づきました。大学院では、Teaching Artist(*1)について勉強する機会を得て、聴衆にとって、音楽家が奏でる音楽が「自分の中に取り込まれたもの」と感じられるような場を作りたいと強く感じるようになりました。この体験から、2022年に「音あそび」という団体を設立し活動を続けています。
*1)Teaching Artist:「芸術を教えるだけでなく、芸術を通して人を教育することを、仕事の一部としている人である」ティーチング・アーティストー音楽の世界に導く職業(水曜社)より
2.具体的な内容
(1)目的
①各地域の人々がクラシック音楽の生演奏に触れる機会を作る。
②若手演奏家に演奏機会を提供する。
(2)活動内容
主な活動を三つに分けてご紹介します。
A.ミュージック・ワークショップ
会場:桐生市市民文化会館リハーサル室1
対象:0歳児から高齢者まで
2022年~2024年の3年間、公益財団法人音楽文化創造の「国際音楽の日」記念事業に関する助成金(https://www.onbunso.or.jp/imd/)に採択され、ミュージック・ワークショップを開催しました。
・2022年「ハープとヴァイオリンってどんな音?」(グランドハープ)
・2023年「自分の音を楽しもう!」(親指ピアノ=カリンバ)
・2024年「リズムで音あそび!」(手拍子、各自持参の打楽器)
毎年テーマを変え、参加者の声を基に様々な面で改善を重ねました。気軽に音楽を楽しむ機会をより多くの方に提供し、参加者がいろいろな音楽の楽しみ方を知ることで更に音楽が好きになり、コンサートに足を運ぶきっかけになればと考えました。
2024年に開催したワークショップでは、経済状況に左右される「子どもの体験格差」の是正を目指し、午前の部(小さな子ども向け)は参加費無料としました。結果として、近隣市町村だけでなく県内遠方からの参加も見られました。参加者から「参加費無料は非常に有難い」という声が多数寄せられました。
B.コンサート~ふくわらいニューイヤーコンサート
(公財)群馬県教育文化事業団 文化創造の芽育成事業・第49回県民芸術祭協賛事業
日時:2026年1月12日(月・祝)
【ミニレクチャー】13時15分~13時30分
【コンサート】14時~15時
会場:ながめ余興場
出演:山内 悠里佳(アイリッシュハープ)
伊藤 みや乃(ヴァイオリン)
対象:0歳児から高齢者までどなたでも
アイリッシュハープ(*2)の演奏に接する機会はあまりないと思い、ヴァイオリンとのデュオでニューイヤーコンサートを企画・開催しました。コンサートプログラムは、新年にふさわしい名曲と、使用するアイリッシュハープの音色が日本の箏の音色に近かったため、日本の楽曲も取り入れました。
*2)アイリッシュハープ:アイルランドで発展した楽器。オーケストラで使用されるハープ(グランドハープ)とは大きさも違い小型~中型。弦は真鍮。グランドハープの弦はガット弦かナイロン弦。
コンサートの開演前にはミニレクチャーと称し、希望者にはアイリッシュハープについて演奏家の話を聞いたり、近くで楽器を見たりする時間を設け、来場者の興味・関心を引き出す構成としました。
また、ミニレクチャー、コンサートともに、ステージ上で生音の響きを感じる体験も企画しました。「音あそび」は拠点のある桐生市内でワークショップやコンサートを継続的に開催してきましたが、ステージの付いている会場は料金が高いため、今回は、芝居小屋であるながめ余興場(*3)を活用することにしました。
*3)ながめ余興場:群馬県みどり市に1937年に立てられた木造2階建ての劇場で、市の重要文化財になっている。
C.他
一般財団法人100万人のクラシックライブの「人と人をつなぐ」活動に共感し、2019年より財団の演奏家としても活動しています。私はこれまでに北海道から九州まで、150以上のライブに出演してきました。特にコロナ禍を契機に始まった、子どもたちに「音楽を届ける」プロジェクトでは、経済的に支援を必要とする子どもたちに演奏を届けています。
3.成果と課題
「音あそび」が主催するミュージック・ワークショップやコンサートでのアンケートによると、毎回、楽しかったという声が多く寄せられ、楽器や音楽に興味を持ってもらえたようでした。また、活動を継続することで本団体が広く認知され、スポンサーやボランティア等、協力してくれる方が少しずつ増えてきています。
誰もが平等に音楽を楽しめる場を創るためには、参加費や入場料を低く抑える必要があります。その実現のために助成金や補助金の活用、企業から協賛していただくなど、支援者を幅広く募る方法を模索しています。
4.抱負
「敷居が高く料金も高い」「良さがよく分からない」「曲が長くて眠くなる」…といったクラシック音楽に対するイメージを払拭できるよう、聴衆が主体となり得る企画を仲間とともに考えていきます。地方は都心に比べ生演奏を聴く機会が少なく、音楽家の地位も低い傾向です。音楽家が社会の一員として地域に貢献でき、生計が成り立つことを証明していきたいと思います。
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