地域音楽コーディネーター ピアノ指導者 ピティナ正会員 脳トレピアノ®エグゼクティブ認定講師 神奈川県 小瀬紘子さん
- ■活動テーマ:
- 誰もが自由に創造性を発揮できる共生社会を目指して
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2013年~現在
- ■場所:
- 横浜市内小学校、コミュニティーハウス、地域施設 他
- ■対象:
- 幼児~高齢者まで
1.きっかけ
私はピアノ指導者として子どもたちへのレッスンを続ける中で、音楽には単に演奏技術を学ぶだけではなく、人と人をつなぎ、心を豊かにする力があることを実感してきました。現代社会では、地域住民同士のつながりが希薄になり、世代を超えて交流する機会も少なくなっています。特に都市部では隣近所との関わりが少なく、孤立や孤独を感じる方も増えています。そのような中、音楽は年齢や立場を越えて自然に人が集まり、笑顔になれる力を持っていると感じています。
また、「人生100年時代」と言われる今、子どもから高齢者まで、生涯にわたって学び続けることや、社会とのつながりを持つことはとても大切です。音楽活動には、仲間と協力する喜びや、人前で表現する達成感、思い出を共有する楽しさがあります。そうした経験が、日々の生活に生きがいや活力を与えてくれると考えています。このような観点から音楽で地域への貢献ができるのではと考えました。
13年前に地域小学校のPTAコーラス指導を始めたことをきっかけに、地域との関わりが広がり、小学校へのアウトリーチ活動や、高齢者向けの「歌って脳トレ」活動へと発展していきました。
2.具体的な内容
【ビジョン】
- ①音楽を通して誰もが自由に創造性を発揮できる共生社会を目指す
- ②異なる背景を持つ人々が同じ場で交流できる、世代や立場を超えた地域音楽活動
- ➂音楽による心身の健康づくり
A.PTAコーラスの指導
(1)目的
当初は、「保護者同士が交流できる場を作りたい」「保護者と学校側が関われる場を作りたい」という思いがありました。なぜならば子育て中の保護者は忙しく、自分のための時間を持つことが難しいものです。だからこそ、音楽を通してリフレッシュし、仲間づくりができる場になればと考えました。現在も歌うことを楽しみながら、保護者同士の交流や地域とのつながりを深めることを目的に活動を続けています。
(2)内容
30代~50代を中心に約10名が月4回、平日に練習に参加しています。曲は子どもの学校教材の曲、唱歌、合唱曲、J-POP、映画音楽など、メンバーが親しみやすく楽しめる曲を選んでいます。時には子どもたちが知っている曲も取り入れ、親子で会話のきっかけになるよう工夫しています。
成果発表として、小学校の行事や地域の文化祭、イベントなどで演奏を行っています。人前で歌う経験は大きな達成感につながり、メンバーの「また頑張ろう」という意欲の源になっています。
B.横浜市内の小学校へのアウトリーチ
(1)きっかけと目的
PTAコーラス活動を通して学校とのつながりが深まったことから、小学校でのアウトリーチ活動を行うようになりました。活動に当たっては、こちらから学校側へ企画提案を行い、具体的な内容については、校長先生や音楽担当の先生をはじめとした先生方と相談して決定しています。
近年は、子どもたちにとって身近な存在である先生方と一緒に歌う機会も設けています。そこには、「音楽は自由に楽しんでよいもの」というメッセージを子どもたちに肌で感じてほしいという思いが込められています。
(2)内容
主に体育館などで全校児童を対象に実施しています。学校教材の曲や子どもたちが好きな曲、季節の歌など、親しみやすい曲を中心に私がピアノ伴奏をし、生演奏でお届けしています。演奏中は体育館がライブ会場のように盛り上がります。曲の紹介やエピソードを交えながら進行することで、子どもたちがより興味を持てるよう工夫しています。
また、手拍子やリズム遊びを取り入れ、会場全体で一緒に音楽を楽しめる参加型プログラムも実践しています。終了後には「また一緒に歌いたい」という感想も多く寄せられ、生演奏の魅力と音楽の楽しさがしっかりと伝わっていると実感しています。
C.歌って脳トレ
(1)目的
高齢化社会が進む中で、音楽が心身の健康維持に役立つことに深く関心を持ち、一般社団法人全国ゆうゆう塾®協会が認定する脳トレピアノ®エグゼクティブ認定講師の資格を取得しました。現在は地域のコミュニティーハウスを中心に、「歌って脳トレ」を開催しています。
現在は40代~80代を中心に、地域にお住まいの方々が毎回15名程度参加されています。現在はカルチャーセンターでも7月より開講しております。歌うことやリズム活動を通して、認知機能の活性化、口腔(こうこう)機能の維持、社会的孤立の予防、そして仲間づくりにつなげることを大きな目的としています。
(2)内容
3か月を1クールとして開催し、1回60分程度で行っています。内容は発声練習・呼吸法・昭和歌謡や唱歌を歌う・手拍子やリズム活動・簡単な体操・器楽演奏などです。歌いながら体を動かしたり、リズムに合わせて手拍子をしたりすることで、脳と身体を同時に使うデュアルタスクの活動を意識しています。
「上を向いて歩こう」「バラが咲いた」「花」「朧月夜」「ふるさと」「瀬戸の花嫁」など、参加者の皆様が親しみやすい昭和歌謡や唱歌を中心に選曲しています。
- 参加者の方々からは、「懐かしい曲を歌って元気が出た」
- 「歌いながら体も動かせて、心身ともにリフレッシュできた」
- 「毎回ここに来るのが楽しみ」といったうれしいお声を頂いています。
3.成果と課題
地域で13年間活動を続けてきた中で、音楽を通して確かな「人と人とのつながり」が生まれていく過程を目の当たりにしてきました。音楽は言葉を超えたコミュニケーションを生み出し、年齢や立場が違っても同じ時間を共有できるため、ごく自然な形で交流が育まれると実感しています。
A.PTAコーラス
【成果】
保護者同士が音楽を通じて支え合う関係が生まれ、初対面だった方々が親しく交流するようになる姿を何度も見てきました。
【課題】
学校や地域との連携活動は、準備や移動を含め多くがボランティアベースとなるため、持続していくためには周囲の理解と協力が欠かせません。
B.小学校へのアウトリーチ
【成果】
子どもたち同士はもちろん、保護者との交流も生まれ、子どもたちが音楽に興味を持つ大きなきっかけとなっています。さらには、子どもたちの地域行事への参加意欲が高まるといったうれしい変化も見られます。
【課題】
「参加のあり方」です。親子で一緒に楽しめる雰囲気づくりに努めていますが、保護者の方は「大人は恥ずかしい」「我が子を見るのが楽しみ」と観客になりがちです。しかし、子ども自身は「お父さん、お母さんと一緒に行いたい」と望んでいます。その思いに応えられるよう、保護者の方にも「見る側(がわ)」から「一緒に参加する側(がわ)」へ一歩踏み出していただき、親子で音楽を共有する時間を増やしていくことが、今後の大切な課題だと感じています。
C.歌って脳トレ
【成果】
健康づくりだけでなく、地域の交流の場としての役割も生まれています。参初対面だった参加者同士が自然に会話を交わし、温かなつながりが育まれています。
【課題】
参加者の中には遠方から来られる方もおり、継続して参加したくても交通手段や移動時間の負担から通いづらくなる場合があります。また、年齢を重ねるにつれて外出そのものが難しくなることもあります。今後は開催場所の拡充や地域との連携を進めるとともに、オンラインの活用なども視野に入れながら、より多くの方が無理なく参加できる環境づくりを検討していきたいと考えています。
4.抱負
今後は、これまでの経験と地域で築いてきたつながりを最大限に生かし、音楽を通した「地域ウェルビーイング(心身の健康と幸福)」の実践として、更に多世代が交流できる活動を広げていきたいと考えています。
現在、子どもたちと高齢者が一緒に合唱を行い、地域の音楽祭に参加する計画も進めています。ゆくゆくは、地域のアマチュア音楽家や学校、福祉施設などと連携し、子どもから高齢者まで誰もが一緒に参加できる「地域音楽イベント」や「音楽祭」の開催にも挑戦したいと思っています。
また、私が活動する地域柄、近隣の小学校には外国にルーツを持つ児童が多く在籍しています。そのため、日本の童謡や唱歌だけでなく、世界の音楽にも触れながら「多文化共生」の視点を取り入れた活動へと発展させていきたいです。各国の童謡を一緒に歌ったり、日本の唱歌と比較したりすることは、お互いの文化への深い理解と尊重につながると確信しています。
音楽には、年齢や言葉、国境をも超えて人と人をつなぐすばらしい力があります。これからも音楽を通して、地域の皆様が笑顔になり、誰もが安心してつながることができる温かい居場所づくりを続けてまいります。
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