地域音楽コーディネーター ピアニスト 音楽セラピスト 愛知県 津田眞壽さん
- ■活動テーマ:
- 一音の違いが、人を変える
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2002年~現在
- ■場所:
- コミュニティーサロンカフェ、飲食店、デイサービス、緩和ケア病棟、学校、コンサートホール、商業施設、テーマパーク
- ■対象:
- 一般
1.きっかけ
当初は音楽ホールでのピアノソロ演奏を中心に活動していましたが、音楽が限られた人のものになりやすい現実を感じていました。そのため、ピアノの生徒(幼児や低学年)が自然に演奏会に触れられる場として、自主的に演奏の機会をつくるようになりました。2012年以降は名古屋に拠点を移し、地域での人とのつながりを一から築きながら活動を重ねてきました。そうした中で、ご縁を通じて演奏の場が広がり、現在、地域のイベント・デイサービス他、地域に根ざした活動へとつながっています。また現在、笙を学んでおり雅楽の普及活動もしております。
2.具体的な内容
A.雅楽の普及
宮中の儀式等で演奏される雅楽は、一般の方々に広く認識される機会が限られています。そこで私は雅楽の普及のため、それぞれの団体や伝統の品位を大切にしたいと考え、自身は演奏家としてではなく学習者としての立場から関わっています。現在は笙の練習過程や気づきを記録・発信し、雅楽に初めて触れる方にも関心を持っていただける入り口づくりを行っています。
また、カフェやコミュニティーサロンなどの身近な空間で笙の音に触れていただく機会を設けることで、「雅楽は特別なもの」という印象を和らげ、日常の中で体験できる音楽として伝えることを大切にしています。実際に演奏を聴いた方からは、「初めて聴いたが心が落ち着く」「音の重なりが心地よい」といった感想を頂くこともあり、専門的な知識がなくても受け取られる音楽であることを実感しています。
B.地域でのイベント参加
地域住民の方々へ気軽に音楽に触れられる場づくりを目的として、地域のコミュニティーサロンで音楽イベントを開催しています。サロンごとに定期的な集まりの日があるため、その日程に合わせて演奏機会を開催します。地元議員の方をはじめとしたメンバーとバンドを組み、ここでは私はキーボードを担当しています。演奏曲はポピュラー音楽(エリック・クラプトン、ビートルズ他)昭和歌謡を中心に、会場の雰囲気や広さに応じて編成や音量を調整しながら演奏しています。
また、議員の方々はこの音楽の場が世代や立場を超えた対話のきっかけにもなり、日々の活動に生かしておられます。参加者が自然に口ずさんだり、手拍子をしたりと、音楽を通してその場に一体感が生まれることを大切にしています。
C.デイサービスでの活動
デイサービスではグランドピアノを用い、お昼の時間帯にBGMとしての演奏を行っていました。施設内にはグランドピアノが常設されており、音楽家やスタッフが日常的に演奏を行う環境が整っています。その中で私はクラシック、洋楽、映画音楽、童謡・唱歌、歌謡曲、演歌など幅広いレパートリーを取り入れ、その場の雰囲気やリクエストに応じて演奏していました。
1回の演奏は約1時間です。連続して30曲ほど演奏することもあり、曜日ごとに異なる利用者の方に合わせて選曲を工夫するなど、日常に寄り添った音楽の提供を心がけていました。また、雅楽に関しては、施設職員の中に龍笛奏者がいるご縁から、コンサート告知の機会として一度演奏を行いました。現在は活動形態を見直しています。この経験は、とっさのリクエストに対応する技術力の向上になり、また音楽が日常の中で人に寄り添う在り方を考える大きな契機となっています。
3.成果
(1)聴き手の年齢層と目的により内容を決定
これまでの活動を通して演奏技術だけでなく、音色や選曲によってその場の空気や人の反応が変わることを実感してきました。長く定期的に演奏させていただいた場所では、利用者や来場者の方から率直な反応や状況をお話しいただける関係性が生まれ、音楽を通じた信頼の積み重ねを感じています。実際には、会場の広さや楽器の状態、集まる方々の年齢層や目的によって求められる音楽は異なり、それに応じて選曲や表現を柔軟に変えることが求められます。クラシックでは親しみやすい楽曲を中心としながらも、場面によっては(病院や緩和ケア病棟のように穏やかな音楽スタイルが求められる環境であっても)、ショパンの革命エチュードや英雄ポロネーズといった力強い楽曲がリクエストされることもあり、音楽が人の意欲や感情に働きかける側面を実感しています。
(2)会場の方針を理解
また、カフェなどの空間では、オーナーの考えや店舗の方針を理解しながら、その場にふさわしい音楽の在り方を見極めることも重要です。過去の経験から音楽イベントに慎重な姿勢を持つ方のお話を伺うこともあり、その一つ一つが新たな気づきにつながっています。一方で、演奏者として自らの考えや価値観を適切に伝え、対等な関係の中で音楽を提供していくことも今後の課題です。環境や対象が変わる中で、音楽の役割も変化していきますが、その都度得られる気づきを積み重ねながら、より良い表現と関わり方を模索していきたいと考えています。
4.抱負
一音の違いが人の心や場の空気を変えることを信じ、今後は、ピアニスト・笙演奏家・指導者としての活動に加え、音楽文化創造の地域音楽コーディネーターとしての役割も大切にしながら、音楽が日常の中に自然に存在する場づくりを広げていきたいと考えています。地域や環境によって求められる音楽の在り方は異なりますが、その一つひとつに丁寧に向き合い、音の質や選曲といった細部を大切にしながら、安心して音楽に触れられる時間を提供していきたいと思います。また、必要とされる場所に柔軟に関わりながら、音楽を通して人と人、人と空間がつながる機会を創出していくことが目標です。結果として活動の幅が広がり、より多くの方に音楽の価値が届くことを願っています。
地域音楽コーディネーターや生涯学習音楽指導員として皆さまの活動を掲載しませんか?
活動紹介やイベント告知をご希望の方は、下記のページをご覧ください
音楽文化創造では、地域音楽コーディネーター資格取得の養成講座を実施しております。
詳しくは下記をご覧ください。