地域音楽コーディネーター チューバ奏者 指揮者 吹奏楽部指導者 大阪府 中村 一廣さん
- ■活動テーマ:
- 音楽を通じて国内外のコミュニケーションを経験し、視野を広げる
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2002年~現在
- ■場所:
- 立命館中学校・高等学校 国内外の学校 プロ・アマチュア問わずの楽団での演奏
- ■対象:
- 中学生・高校生・一般の音楽愛好家
1.きっかけ
中学生のとき、吹奏楽部に在籍していた姉の影響で吹奏楽部に参加しチューバ担当になりました。高校生時代、参加した関西ユーフォニアムチューバフェスティヴァルでゲスト演奏されていた奏者の演奏を聴き、音楽の道を志し音楽大学へ進みました。元京都市交響楽団の武貞茂夫先生やアメリカの有名なチューバ奏者ロジャー・ボボ氏に師事しました。
大学卒業後、チューバ奏者として多くの楽団で演奏活動する傍ら、吹奏楽指導に携わらせていただく機会が多く、母校の指導を含む300校以上の学校・団体を指導してきました。2023年より京都府にある立命館高等学校の外部指導員に友人の後任として伺わせていただくことになり、各種イベントなどに参加しています。
2.具体的な内容
A. 立命館高等学校での指導
学校所在地の長岡京市は音楽の街として、ジュニアバンドからプロのオーケストラまで様々な音楽にあふれている街です。吹奏楽コンクールでの成績も優秀な学校が多く、駅前の広場や劇場での公演も多く行われています。
(1)目標
「心から心へ届ける音楽を」
このスローガンは私が携わる以前からあるもので、聴いていただく方の心に残る、楽しさや上質な演奏、聴くだけではなく見て楽しめる演奏を目指しています。
(2)指導体制と練習
2026年度の部員は73名です。月に数回のオフ日がありますが、平日16時から18時30分、休日は午前か午後の最大4時間という活動時間です。顧問は事務担当者と私を含め5人です。主顧問は社会科の先生ですが、学生時代からクラリネットを演奏されている方で、指揮もされる先生なので担当を分けて、時には一つの曲を一緒に合奏指導もしています。また今年度から新しく音楽科の先生が加わり充実した指導体制になっています。そのほかにも各パートのレッスンを関西で活躍しているプロの奏者の方々に来校して指導をお願いしています。
(3)内容
吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストなど吹奏楽連盟が実施しているイベントの他に、いろいろな団体が企画されているコンテストや演奏会(今年度では甲子園ブラスバンドフェスティバルなど)に参加しています。また学内に1000席のホールがあるので、
ⅰ.学校内での式典
ⅱ.ジョイフルコンサート
吹奏楽部が年2回開催し,主に京都の学校が出演する合同演奏会コンクール前に複数団体が集まって披露
ⅲ.壮行演奏会
ⅳ.他校との合同練習
昨年度はハワイからカメハメハスクールさんが来校され、
合同で演奏会を開催するなど、学校の特色の一つであるインターナショナルスクールという点を生かした、海外の学校との交流も盛んに行われています。
また地域での演奏の機会も年に数回あり、地元での交流やイベントでの演奏などクラシックだけでなく、様々な年代の曲を聴いていただけるように練習しています。ほとんどの演奏機会の進行や準備は生徒主体で、顧問が最終チェックをするという形で、演奏会を自分たちで作るという進め方をとっています。
B.アウトリーチ
文化庁からの派遣を含む、小学生を主とする学生への演奏という機会がどの職業演奏家にもあると思うのですが、大阪にあるオルカミュージックという音楽事務所からの派遣で日本各地での演奏活動を行っています。それ以外の機会も数多くありますが、一例として、私の恩師からの紹介や、過去に指導していた人が教員になり、依頼をされて演奏に学校に伺っています。基本的には学校のリクエストを最大限含み、鑑賞者が楽しめるプログラムと構成をその都度考えて、伺うようにしています。
C.海外の学校との交流
(1)海外との交流の可能性
私が大学生の頃、初めて海外でのチューバの大会に参加し、視野を広げる必要性を多いに感じました、具体的には当時の自分と同じ歳の学生が練習している内容や、将来への展望などがより具体的だと感じたことです。更に2004年にオーディションに合格して参加させていただいたアジアユースオーケストラ(*)での経験で、海外の方とのより多くの交流の可能性を感じました。
*)アジアユースオーケストラ:有名なヴァイオリニスト ユーディ・メニューインとアメリカの指揮者が1987年に設立したオーケストラ。アジアの優秀な若手音楽家が集い一夏限り活動する。
(2)人脈を広げる
2010年以降の世界中で開催されたチューバや金管楽器のための国際大会で、師事していたボボ先生の推薦もあり、様々な場面で演奏する機会をいただけたこと、その大会の中で私の編曲した楽譜を演奏するアンサンブルの指揮をさせていただいたことなど、多くの機会が繋がることで、より広い人脈を設けることができました。
(3)音楽面での国際交流
日本の吹奏楽は世界的にも有名です。近年は日本の吹奏楽指導法や、作品紹介などで海外の大学での講演や指導者とのコラボレーションの機会が増えてきました。立命館高等学校では海外交流が盛んなので、生徒たちに授業ではなく音楽面での国際交流の可能性と、実際に経験することでしか得られない感性を育てる機会になればと思っています。それ以外にも海外の団体が来日する際、海外に行く日本の団体のお手伝いなどをしています。個人やアンサンブル、吹奏楽団体まで、幅広い演奏団体の機会を設けることで、双方に満足のいく機会を作る用意努力しています。
3.成果
立命館高等学校を例にすると以前の京都市伏見区にあった校舎から移転をして、学内のホールの利便性や市との一体感によって様々な機会をお互いに共有し合えていることがうまくいっているのではないかと考えます。私が関わらせていただくまでも京都の有名校として、学力も部活動も文武両道をしっかり取り組んでいたように見えていましたが、外部との交流が少ないように感じていたことを、少しずつ増やせていけていると思っています。それが高校生同士の交流や、近い目標の存在、他を知ることで自分たちの本当に取り組みたいことへの気づきなどへつなげられていると思います。
4.課題
私の感じる課題は2点です。音楽は学問でありながら感性の部分が多く占めているので、美しいものを美しく、迫力のあるものをよりという演奏技術への学生が感じて いる壁をなくせるようにすること。もう一つは将来のリーダーを育成するという観点から、各自がその場の判断をできるようになり、後輩や他校の学生から尊敬される存在に育てていくことです。
5.抱負
吹奏楽部として大会での成績も上位を目指すことはもちろんですが、より多くの方に演奏を聴いていただくこと、たくさんの方とコラボをすることなどが目標です。合わせて、吹奏楽ならではの魅力やオリジナル作品からポップスまでの様々な音楽を、定期的に聴くことができる機会を増やせないかということを考えています。生徒の自主性という点を生かしながら地域を含む中学生などのロールモデルになれるように取り組んでいきたいです。
6.部活動の地域展開について
(1)教員個々の思いの相違
教員の負担軽減は重要で早急に手を打たなければいけない問題ですが、個人的には教員の仕事ではないようなことまで担当されているように感じます。また、部活動を取り組みたいという気持ちで教師という仕事を選んだ人も少なからずいるのに、活動することができないということへの不満も、現場から聞こえてきています。
(2)自治体の予算計上
立命館高等学校では外部指導員に実技指導を含む顧問業務を任せることで、部活動の内容の充実と各自の時間の有意義な使い方を実現しようと、学校も指導員も努力をしている状況です。もちろん別な人材を雇うということで資金の問題もあると思いますが、各学校の特色であり、子どもたちが挑戦したいことをかなえられる環境作りにもしっかりと自治体が予算を作るべきだと考えます。
(3)連携の重要性
多くの自治体に劇場がありますが、専門的な知識が必要なケースなどで、地域音楽コーディネーターや、地元のみならず経験を持つ人と連携し、お互いにとってより良いイベント(機会)づくりをしていければ良いと考えます。団塊の世代の皆さんのノウハウを、現在の状況に合わせてしっかり受け継ぎながら改革を進めるというのが、すべての部活動でも必要ではないかと、教員の方を含む諸先輩型と話をしていても感じることが多いです。
(4)地域全体での工夫
私が重要と考えるのは、子どもの機会をなくしてしまう結果にならないように行政含む各自の工夫が必要という点です。従来の指導方法では時間がかかることが多かったように思いますので、指導法の見直しや、IoTを活用した練習など(立命館高校でも取り組んでいます)、短時間でも効率よく練習できる方法を考える指導側の工夫と、自治体や行政も時代を担う未来への予算をしっかり考えるということだと思います。毎年アメリカ・シカゴで開催されるミッドウエストクリニックというイベントでも日本からの団体を楽しみにしているお客様が多くいらっしゃいました。音楽だけではなく、日本の部活動が育んだ運動も文化もなくならないように、積極的に行動をしていくつもりです。
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