活動ノオト

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【活動ノオト】NPO法人「音の風」の活動

(2020年02月13日公開)

2019年6月に大阪で開催された地域音楽コーディネーター探究講座で、活動事例を紹介していただいた「NPO法人音の風」の代表理事、西野桂子さんにお話しを伺いました。


「NPO法人音の風」は、アーティスト派遣や生涯音楽学習の推進,音楽ボランティアの育成・派遣、音楽イベントの企画・運営などを、地元京都市で行っています。地域に暮らす人々とともに音楽を通して心の交流の機会を創出することで、社会貢献活動の推進に尽力できる環境を創り出すことを目的としています。毎月40~50件ほどの活動を行っています。現在会員は110名ほどで、アーティスト、元音楽の先生、福祉施設の職員、定年退職後に社会貢献をしようとしている人などさまざまです。


【活動しているきっかけは?】

西野さんは京都市の生まれで、実家はお寺でした。音楽好きな父親の勧めで6歳からヤマハ音楽教室に通いピアノ・エレクトーンを習いました。さらに学生時代にはバンド活動をはじめ、シンセサイザーやDTM(デスク・トップ・ミュージック)にのめりこんでいき、ローランドで鍵盤楽器やDTMのデモンストレーター、ローランド音楽教室の講師、運営サポートを行ってきました。


しかし、身近な楽器店の倒産、レコード・CDショップの閉店、音楽教室の生徒減少、講師の廃業、コンサートの集客動員数の減少など音楽業界の先行きに西野さんは漠然とした不安を感じるようになったそうです。


そんな時、偶然にも初めて高齢者福祉施設での歌の伴奏の仕事が入りました。高齢者福祉施設内は、どんよりとした雰囲気だったそうです。西野さんはいたたまれない気持ちになり、

「ここは私が知っている音楽活動の場ではない」

と感じたそうです。


ところが、音楽が流れだすと、雰囲気は一変します。参加された高齢者の皆さんは、背筋を伸ばして歌を歌いだしました。西野さんはその変化に衝撃を受け、

音楽が、生きるために必要な場がある

と音楽の力を実感したそうです。


もう一つは、あるテレビドキュメンタリーで、障がい者福祉施設での音楽活動を目にしたことでした。その施設では主にダウン症候群の子どもたちが音楽活動で収入を得ていました。音楽の練習をして、テンポに合わせて、しっかりと演奏をしていました。西野さんはその能力の高さにびっくりして、

音楽にはまだまだできることがある

と、またしても音楽の力を実感したそうです。


そして、自分が受け身だったことに気づき、音楽が素晴らしいということを、身近な地域に暮らすたくさんの人々へ伝えに行こうと、前向きな行動へ移していくことにしました。


【NPO法人を設立した理由】

どうしたらこの音楽の力を形にできるのか? 西野さんは、それにはまず福祉の現場を知らなければいけないと考えたため、勉強をしてホームヘルパー2級の資格を取得しました。そして、音楽の仕事も続けながら、パートタイムで介護の仕事をはじめました。福祉現場を体験して現場のさまざまな課題を知ると、自分は福祉そのものに入り込むよりも、やはり自分ができる音楽によるアプローチをするべきだと実感したそうです。


地域で音楽が必要とされている。しかし、音楽を必要な場があるのに、アーティストには仕事が少ない現実。だから、地域の中に入って音楽を必要としている人たちに音楽を届ける場をつくりたい。助成金の申請や、行政,地域,企業,教育機関等さまざまな他団体との連携には、個人事業主や任意団体では難しい。そして社会的な信頼を持って安定的に継続した運営を行いたい。西野さんは悩んだ末に、2003年ちょうどNPO法が改正され話題になっていたNPO法人を設立することにしました。


【NPO法人の作り方、メリット】

NPO法人の設立に際して必要な定款や申請書の作成・手続きなどは、西野さんたち自身で行いました。知らないことは聞くという方針で、NPOの支援センターに行き、設立の仕方などについて教えてもらったのです。NPO法人として認証を受けるには、10名以上の役員が必要となります。音楽をやっている人、楽器店の人、音響のプロなどに声をかけて役員になってもらいました。


NPO法人のメリットは、まず、社会的信頼性が高まることです。法人格があると団体名義で契約ができますし、団体名義で資産等を保有することもできます。助成金や行政などからの委託事業など法人格が応募条件になっている場合も多くあります。また、資本金や出資金のような決まりがないので、少額の費用で設立できます。税制面での優遇もあります。


【補助金・助成金申請のポイント】

NPO法人は非営利団体で、利益を追求しない団体ですが、無償で活動する団体ではありません。活動のための資金がなければ何もできません。したがって独自に資金を獲得する方法を考えなければなりません。そのひとつとして、民間や行政が支援のために提供する補助金や助成金は力になります。


補助金・助成金を申請する際に重要なポイントは、「相手のことを知ること」だと西野さんは言います。「自分たち目線で、自分たちの主張ばかりをしていては、なかなかとれない」と。さらに、相手が何を求めているのかを読み解き、過去に補助金を受けた団体はどこかを調査し、申請書の書き方や企画書の見せ方は相手に合わせるようにすることが肝心だそうです。


【地域音楽コーディネーターに求められていること】

最後に、西野さんから地域音楽コーディネーターへのメッセージです。

「地域からの音楽活動の要望はたくさんあります。社会や地域に目を向けることが重要です。自分の興味関心,地域のニーズ,社会課題等の組み合わせによって地域での音楽活動には,無限の可能性があると考えます。ボランティアレベルのものから、しっかりと仕事につなげていくことまで、自分の目的に応じて作り上げていくことは可能です。」

「自分自身のために,そして地域や社会のニーズにこたえるために,まずは自分が無理なく楽しんでできることから始めていただけたら幸いです。この活動が広がれば,日本中の地域のいたるところで音楽の花が咲き誇ることでしょう。それぞれの地域を大切に,活躍されることを期待しています。」


●NPO法人音の風
http://www.otonokaze.org/

●京都市岡崎いきいき市民活動センター
https://www.okazaki-iki-iki.org/



※ 音楽文化創造では、地域音楽コーディネーターの活動を取材して「活動ノオト」として掲載いたします。「活動ノート」で紹介する「活動の音」をご覧ください。全国の地域音楽コーディネーターの皆さんの活動の参考にしていただければと存じます。


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