活動事例

地域音楽 コーディネーター 活動事例

【事例紹介】ヴァイオリンで世界が広がる!

(2023年08月28日公開)

地域音楽コーディネーター ヴァイオリニスト 栃木県 加藤真紀さん

■活動テーマ:
ヴァイオリンで世界が広がる!
■目次:
■活動開始時期:
2016年~現在
■場所:
都区内の施設、ゆめりあホールなど
■対象:
20代~70代
■活動内容

1.きっかけ

私のヴァイオリン生徒はアンサンブルに興味があり、社会人になってヴァイオリンを始められた方が多く、楽器演奏歴も年代も職業も様々です。私もアンサンブルの魅力と楽しさを経験しているので、せっかくならアマチュアオーケストラに入ったことのない方でも指揮者の指導を受けられる機会を是非体験してもらいたいと思い、弦楽合奏の勉強会を企画しました。一回限りのイベントの予定でしたが、受講者に大変好評だったので、発表できる場を作りたくなり、半年後の発表会(通常開催している)の中で披露しました。翌年からはプログラムの中に合奏の部を設けるようになりました。

もう一つの活動として所属している板橋区演奏家協会、区、知り合いからの依頼で小学校にアウトリーチ(演奏家が、ふだん生演奏に触れることができない方のところへ出向いて演奏すること)に行くことがあります。弦楽四重奏(ヴァイオリン2名とヴィオラ・チェロ各1名計4名)が多いですが、ソプラノ・ヴァイオリン・コントラバス・ピアノという編成で演奏したこともあります。主な活動として弦楽合奏と学校へのアウトリーチについてご紹介いたします。

2.具体的な内容

A.弦楽合奏

(1)発表会企画

  • Step1. 基本コンセプトの決定
  • Step2. 開催日時の決定後、発表会会場予約
  • Step3. 演奏指導していただく先生方へ依頼
  • Step4. 発表曲の決定
    アンサンブルに興味がある方に多く参加してもらいたいので、生徒が演奏したいと思う曲であると同時にアンサンブルの勉強になることに配慮して選曲します。
  • Step5. 練習会場を予約して練習日を設定
    本番までに指揮者の指導が受けられる練習日を2回ほど設定し、それ以外にも3、4回自分たちで練習しています。
  • Step6. 参加者募集
    毎回発表会開催毎に新メンバー募集をします。私の生徒他、トレーナーをしているアマチュアオーケストラの団員の方に声を掛けて募ります。直近の発表会では、ヴァイオリン13人、ビオラ3人、チェロ2人、コントラバス1人の編成が組めました。
  • Step7. 練習開始

(2)練習に当たって

申込みされたら即時に楽譜をお渡しし、各自個人練習をしておいてもらいます。発表会の3か月前辺りから指揮者の指導は2回、その他に自分たちで3、4回練習し本番に向けて準備していきます。先に書きましたようにメンバーの楽器演奏歴が違うのでお互い相手を尊重するようにしています。特に初めて参加する方にはウエルカムな雰囲気作りと気後れせず弾(ひ)けるように配慮しています。自分たちでの練習では、弦楽器の重要な演奏法である弓の使い方と左手へのアドバイス(弦の押さえかた・ポジション・音程)が主になります。指揮者は曲の全体像や各パートの音量のバランスを指導されます。

(3)コンサート内容―指揮者による合奏

  • ・ シベリウス「アンダンテ・フェスティーボ」
  • ・ コレルリヴァイオリンソナタNo.12「ラ・フォリア」Op.5-12
  • ・ グリーグ「ホルベルグ組曲」Op.40
  • ・ J.Sバッハ 「二つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」BWV.1043
  • など

発表会にはソロだけの参加で合奏には出てない方もいらっしゃいます。
しかし合奏の雰囲気を味わってほしいので、自由参加ではありますが、チャレンジ曲としてパッフェルベル作曲の「カノン」(*1)と発表会の最後は参加者全員でヘンデル作曲「ラルゴ」(*2)を演奏します。
*1)カノン:17世紀のドイツの作曲家の作品で、日本ではBGMとして結婚式ほかでよく演奏される。
*2)ラルゴ:別名「オンブラ・マイ・フ」とも呼ばれ1980年代後半にウイスキーのCMで使用され有名になった。オペラ歌手の故佐藤しのぶがNHK紅白歌合戦で歌唱する。

(4)生徒の反応

子供の場合、幼い頃は「楽しかった」と舞台での演奏を純粋に楽しんでくれるのですが、年齢が上がるにつれ演奏の出来(でき)や、親の感想や他人の顔色に左右されるようになります。大人は「まだ上手じゃないから」「人前で演奏するために始めた訳ではないから」と参加を躊躇(ちゅうちょ)される方もいらっしゃいますが、はじめは渋ってた方もいざ参加されると「緊張しました!でも楽しかった。来年はあの人が弾(ひ)いた○○が演奏できるようになりたい」という達成感や満足感に満ちた前向きな言葉を頂くことが多いです。打ち上げは生徒さん同士、意見や情報交換、悩みの共有などですごく盛り上がります。

B.小学校へ弦楽四重奏でアウトリーチ(訪問演奏)

日程、時間、プログラムなどは私が所属している板橋区演奏家協会が学校側と打合せをして決定します。1stヴァイオリン(全体をリードする役割)の人が連絡係となります。私も1stヴァイオリンの際はメンバーに練習可能な日時を聞き練習日を2回ほど設定しました。他にはプログラムの順番を考えます。演奏会場は体育館が多く、演奏時間は曲解説などの話も含めて40〜50分で7、8曲ほどです。

演奏曲目の一例

  • ・JS.バッハ管弦楽組曲第3番ニ長調BWV.1068より第2曲
    「Air」(通称:G線上のアリア)
  • ・エルガー愛の挨拶OP.12
  • ・W.Aモーツアルト弦楽のためのセレナード第13番ト長調
    Kv.525アイネ・クライネ・ナハトムジーク
  • ・久石譲君をのせて「天空の城ラピュタ」より

生徒たちは静かに聴いてくれます。曲や楽器に興味を持ってもらいたいので、私が司会進行する際には演奏曲の作曲家に関する簡単なクイズを出したり楽器紹介をします。聴いていた生徒から「私はチェロを習っています。将来私もアウトリーチで小学生に聴かせられるようになりたい」という感想をもらったときは感激しました。

3.課題

弦楽合奏で一番は苦労するのは発表会の会場の確保です。ホールの利便性、適度な広さ(弦楽合奏できる舞台の大きさ)、音の響き、会場費等を考慮して探さねばなりません。コロナ禍が緩和され様々な団体が活動を再開してきたこともあり、ますます会場取りが難しくなってきました。また弦楽合奏として各パートの人数が増え充実することを願っています。

4.抱負

栃木県小山でも生徒が少しずつ増えてきました。近い将来、小山でクラブ活動のようにワイワイと積極的に楽しんでもらえる合奏の機会を作っていきたいです。先日、高知の友人の生徒の発表会のお手伝いに行きました。そのとき、友人の生徒・私の生徒合同でイベントするのも面白いかと夢が膨らみました。

アウトリーチ活動は今まで小学校が多いですが、高齢の両親を見ていると介護施設や病院などに訪問し活動の幅を広げていきたいと考えています。今まで音楽を楽しまれていた方はもちろん、生演奏を聴いたことない方には新しい刺激となることでしょう。

クラシック音楽はまだまだ敷居の高いイメージがあるようです。しかしテレビ番組やテレビCMで使われていることが少なくありません。ホテルでもBGMで流れていたりします。曲名は知らないけど聴きなじみある曲をふだん生活と密着している喫茶店やカフェ、商業施設などで生演奏を気軽に触れてもらうための企画を考えたいと思います。

また商業施設や広場などでアマチュアバンドのイベントなどありますが弦楽合奏版があっても面白いのではと思います。大人が合奏を楽しんでいる姿を見せることで「私も出来そう、やってみたい」と思う方を掘り起こせるのではないかと思います。いろいろなアイデアを出して地域で音楽の活性化に貢献していきます。

(2023年8月28日公開)

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