地域音楽コーディネーター理美容師、浪打八幡宮楽人(笙奏者)
浪打の森ジャズフェスティバル実行委員会実行委員長 香川県 松岡智基さん
- ■活動テーマ:
- いにしえからのにぎわいを取り戻す!神社でJAZZ生演奏を通じての地域まちおこし!
- ■目次:
- ■活動開始時期:
- 2013年から現在
- ■対象:
- 一般市民
- ■活動内容
1.きっかけ
地域活動の原点は吹奏楽とジャズの出会いから始まります。小学5年から鼓笛隊でトランペットを担当したのが最初のきっかけです。この楽器の鳴り響く音色に魅了され、中・高校で吹奏楽部にて続けて演奏していました。特に中学校では吹奏楽の魅力に取りつかれ、この時期、生活のほとんどをコンクール練習一辺倒で過ごしました。高校では演奏会コンクールの思い出のある中で先生方、部員、先輩後輩、OBOG、また地域の皆様との関わり方より多くを学びました。当時のサマーコンサートは今では考えられないような『会館』で実施していました。私は演奏のみならず会場設備、備品借用運搬、広報、協賛(プログラム広告お願い)なども行いました。この思春期に得た経験と学びは、現在につながっていると思います。
ジャズとの出会いは、高校入学の祝いに両親に買ってもらったFMコンポのステレオ放送から流れるジャズの斬新な響きに興味を持ち、当時流行っていたFM雑誌からルイ・アームストロング(トランぺッター、歌手)アート・ブレイキー(ドラマー)ウイントン・マルサリス(ジャズとクラシック音楽両方演奏するトランぺッター)他ジャズ・レジェンドを知ることになりました。また、ある日ふと目にしたテレビ番組で、ニューオリンズのミシシッピー川の畔で一人でJAZZを奏でているソニー・ロリンズ(サックスプレーヤー)の演奏姿が目に飛び込み、「自分自身の音楽観」(吹奏楽とクラシック)と、全く違ったスタイルに強いインパクトと新しい発見があり、ジャズ音楽をいつかは演奏できるようになりたい!と思ったことは昨日のように感じています。高校卒業後は両親の勧めもあり、後継者として理容の道に進み両親の手伝いをする傍ら、地元の社会人吹奏楽団、また県内のジャズ・オーケストラにも在籍し今に至っています。
2.具体的な活動
①笙奏者として
理美容師の仕事を始めた頃、お客様の一人氏神神社浪打八幡宮(*1)先代宮司様からのご縁から、神社の春/秋の例大祭、年始の神社にとっての多忙期にお手伝いさせていただいておりました。その先代宮司様から現宮司(吉田成隆氏)に代わられてから、雅楽部が発足し同時に入部しました。そして私が決めるまでもなく篳篥、龍笛、笙の楽器の中で、笙の楽器を担当することになりました。残念ながら1年後には廃部になってしまいましたが、その間、金刀比羅宮元雅楽部と香川県神社庁雅楽部の先生方から教わることを続けていました。例大祭などの祭事での演奏機会を得てからは現在も楽人として笙の奉納演奏させていただいています。
*1)浪打八幡宮: 浪打八幡宮webサイト
②浪打の森ジャズフェスティバル開催の経緯からの準備~思いをかたちに
きっかけは現宮司・吉田成隆氏からの提案により地元でジャズ演奏活動をされているプロ・ジャズベーシスト冨山利三氏のグループのJAZZライブを、秋の例大祭・宵宮祭の一つとして開催したことです。そのジャズライブに感動された宮司様より、地域の皆さんにジャズの生演奏を聴かせてあげたいので協力してほしい!という要望もあり、神社に関わる一人として2013年9月開催するに当たり実行委員の一人として準備を進めていきました。2013年から現在までのあゆみをご説明いたします。
<2013年~2019年まで>
(1)準備から実施
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演奏者
地域に根ざした音楽活動をされている音楽愛好家・また音楽団体をピックアップし趣旨と企画内容を説明。了解を得た後、1バンド45分の持ち時間の中で演奏していただくプログラムで決定 -
開催時期と会場
秋の例大祭の時期に合わせるため9月に設定するが、台風の心配があるので神社境内屋内施設・氏子会館の和室32畳で開催 -
ミニマルシェの開催
飲食も楽しみながら聴けるよう出店も募り、屋外飲食スペースを設けた上で、ジャズ音楽を聴きながら、飲食も嗜(たしな)める『ミニマルシェ』も同時開催。
(2)成果
会場はビッグバンド(*2)には狭いと感じるところではありましたが、観客と近い上に臨場感ある生演奏を聴くことができ、ジャズ愛好家にとっては価値ある音楽祭だったように感じます。ご来場の皆様方は浪打八幡宮の森からの吹き降りてくる神風にいやされると同時に、生演奏により至福の時間を楽しまれたのではないかと思っています。
*2)ビッグバンド:サックス、トランペット、トロンボーンとリズムセクション(ピアノ、ドラムス、ベース)で編成される。
<2023年>「桜の咲く音楽祭」としてジャズフェスティバル再開
2020年からの3年間のコロナ禍から状況は一変しました。イベント開催は困難で何もかもに制限のかかる日々が過ぎてゆき、このジャズフェスティバルもこれから存続難しく感じることもありました。その間に境内入り口に変化がありました。神社入り口左右に宮司さんがしだれ桜を植樹され、その桜が4月初旬に美しく咲き誇る!その情景を見た時に、「この時期にジャズフェスティバルを開催したい!」と思うようになり、宮司さんへ提案しご理解承諾いただいたことで、今年2023年は宮司様はじめ多くの方々のアドバイスにより「桜の花咲く音楽祭」として4月2日(日)開催しました。
(1)開催目的
- 地域音楽文化の向上
- 地元で活動する演奏家と一般市民との交流
- ジャズ生演奏を通じての地域まちおこし
(2)実行委員会体制(ご協力いただいた皆様)
- 神社の宮司様他、職員の皆様
- 後援いただいた三豊市、教育委員会、観光交流局、詫間町公民館の皆様
- 協賛いただいた地元の企業商店の皆様
- 地元で活動するジャズバンド及び団体の皆様
- ボランティアの皆様
- マルシェ出店の皆様
- PAグループの皆様
(3)内容
2回目開催の経験を基に下記の点を中心に進めました。
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演奏者
地元で活動する社会人吹奏楽団、ジャズ・オーケストラ、少人数ジャズバンドの他、ポップス、ゴスペル、雅楽団(笙独奏)に依頼。 今回は、特別ゲスト枠は設けず、プロアマ混合のステージ 朝10時からの開始で、1バンド45分の熱演- 浪打雅楽団(笙独奏)
- 詫間町吹奏楽団
- 高瀬高校&笠田高校合同吹奏楽部
- 観音寺一高吹奏楽部
- Erring Bird Jazz Orchestra
- ARTIZAN
- Sparkle Jive Choir +梅村ひろみ
- b・w・crews
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協賛
宮司さん有識者の皆様からご紹介いただいた企業商店に伺い音楽祭の目的と内容を説明しご理解していただきました。 -
広報宣伝
開催概要決定後、告知チラシ・ポスターを作成。開催1か月前にはチラシ・ポスター配布。告知はFBページに浪打の森ジャズフェスティバルにて詳細を掲載、また地域の新聞・広報誌・FMラジオなどのメディアを活用しました。また演奏バンドに送付し、市関連の施設、地域の商店などにも宣材を置かせていただきました。 -
入場料
神社開催で「昔からのにぎわいを取り戻す!」というテーマから、老若男女問わず誰でもが楽しんでいただけるよう無料にしました。
3.成果と課題
今回初めての四月開催では晴天にめぐまれ、かつ桜の花咲く音楽祭にふさわしい、しだれ桜の満開に咲く屋外ステージにて開催できたことは、実行委員会にとって大成功でした。今までの9月開催では学園祭などの行事があって、出演してもらうこと難しかった高校吹奏楽部に出演してもらえたことは、観客の皆様にとっても、新鮮に聴けたのではないかと思っています。
今後も今までの経験と学びを大切に守りながら、地域の人たちのにぎわう姿をイメージし毎年の定期開催を続けていきたいと思っています。留意点としては神社境内にて開催なので神社の伝統を守りながら華美にならないような内容構成と集客、協賛金集めを工夫しなければならないと感じています。音楽で地域活性化のために行政や地域住民とのつながりを深めどう活用していけばよいのかが課題の一つです。
(2023年9月20日公開)
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