2020年9月26日に、音楽文化創造主催の 地域音楽コーディネーター養成講座がオンライン講座で開催されました。
地域音楽コーディネーター養成講座は
- 生涯学習と音楽
- 文化と地域創生
- 地域文化マネージメント
- 音楽企画書の書き方
の4つの講座からなります。
今回は当初札幌で開催する講座でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン講座での開催となりました。札幌在住の講師も札幌からオンラインで講義しました。
1、生涯学習と音楽
「新型コロナウィルス・パンデミック後の社会における音楽」と題して、東京経済大学客員教授の久保田慶一氏から、音楽の世界では、コロナ前の何が消え、何が残り、コロナ後に何が生まれるのか等タイムリーな話題を含め大変貴重なお話をいただきました。久保田氏は、音楽文化と生涯音楽学習の総合情報・研究誌「音楽文化の創造」(CMC)でも『音楽とキャリア-人生100年時代に向けて』を連載中で、とても中身の濃い読み応えのある内容となっております。ぜひこちらもご一読ください。
2、文化と地域創生
北海道教育大学芸術文化政策研究室准教授の閔鎭京(みん・じんきょん)氏から、「札幌における文化政策と文化芸術活動の現状」と題して、札幌の文化政策の現状を詳細にわたってお話しいただきました。札幌は2007年に「札幌市文化芸術基本条例」を制定し、文化芸術の街さっぽろを標榜してきました。時を追ってどのような施策が実施されてきたのか、また文化芸術予算がどのように変化してきたのかの話は興味深かったです。また、コロナが芸術活動にどのような影響を与えているのかを独自に調査された「札幌の芸術家等の活動状況に関するアンケート調査」の結果をお話しいただきました。タイムリーで、示唆に富んだものでした。
3、地域文化マネージメント
昼食後の「地域文化マネージメント」は、公益財団法人札幌市芸術文化財団チーフプロデューサーの髙橋秀典氏の「60分でわかる地域音楽コーディネーターのための成功のセオリー」。長年にわたり、ディレクターとしてさまざまな地域文化イベントの運営に携わってきた高橋氏オリジナルの成功理論は、説得力があります。「サッポロ・シティ・ジャズ」などの大型企画においてチーフディレクターとしてまとめていくための努力と苦労の話は、これから、地域音楽コーディネーターとして、活動していこうと考えている人達には、とても勉強になったと思います。地域音楽コーディネーターが何をしなければならないか?そのために、どんな勉強をすべきか?高橋氏が用意した80ページものスライドからは学ぶことは多々あります。1時間の講義では話しきれず、スライドは資料として受講者がダウンロードできるようになりました。
4、音楽企画書の書き方
最後は、Zoomのブレイクアウトルームを使った1グループ5人のグループワークセッションで、音楽企画書をつくります。講師は、一般社団法人ソーシャリスト21st 代表理事の松澤寿典氏。あらかじめ事前資料ページで、松澤氏の講義を視聴してからのワークショップだったので、参加者の皆さんはすでに自分なりの構想をもって参加していました。トータルで1時間ほどのグループワークでしたが、どのグループもアイデアに溢れた音楽企画を発表しました。グループによっては、画面共有でパワーポイントのスライドを作ったり、その場で不足の情報はネットを検索して調べたりと、リアルでの付箋紙と模造紙を使ったグループワークより、効率が良いのではと松澤氏も感心していました。
地域音楽コーディネーターが、音楽文化の推進、地域貢献、地域コミュニティの活性化の推進役として、非常に重要な役割であることがよくわかります。この養成講座は他にはない学びのできる貴重な講座です。より多くの人たちにこの講座を受講してもらい、音楽を通して、コロナ禍で変わりつつある人々の心の支え、地域文化の支えになって欲しいと思います。