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協議会 活動事例

【事例紹介】地域の皆様と共に地域に根ざした音楽活動を通して~柏市音楽家協会第100回記念定期演奏会~

(2021年01月11日公開)

全国生涯学習音楽指導員協議会 茨城支部会員
柏市音楽家協会会員 公立学校教員 古田 裕見子さん

■活動タイトル:「地域の皆様と共に地域に根ざした音楽活動を通して」~「柏市音楽家協会 第100回記念定期演奏会」~

演奏会

■日時:2019年10月27日(日)13:30~19:00
■会場:アミュゼ柏クリスタルホール&プラザ 
■対象:0歳児、幼児から大人まで

■活動内容

【1.柏市音楽協会に参画したきっかけ】

私は、現在この協会スタッフの一人としてコンサートの企画や準備、当日の司会等に参画しています。知ったきっかけは、私が師事していた声楽の先生からオーディションを受けてみないかと誘われたことでした。協会が主催するコンサートの質の高さに感動したのを覚えています。

さらに驚いたことは、演奏家はより良い音楽を創る事は当然ですが、ここではコンサートを支える仕事もします。自ら企画から演出、プログラム作成、広報、マネージメント等あらゆる「縁の下の力持ち」を経験し、一つのコンサートが完結するのを知りました。その大切さを痛感したことは、私にとって大きな発見であり、仲間に入って一緒に創り上げたいという気持ちが強くなりました。

【2.協会設立と活動について】

(1)設立趣旨、目的

協会は、地域の皆様に気楽に生のクラシック音楽と触れ合う機会をお届けしたいという願いを込めて、柏市および近隣の音楽家が集まり、1987年に発足しました。地域の方々が東京へ足を運ばなくても本物の音楽を近くで、安価で、気楽に楽しめるコンサートを開催し、質の高い音楽を提供することを目的としています。

第1回演奏会を柏市民文化会館にて開催してから2019年で32年目を迎え、協会員も現在90名となりました。柏市近隣中心だったお客様が、今では都内からも来ていただけるようになりました。

●柏市音楽家協会
http://www.kashiwa-music.org

(2)活動の柱

活動の柱は、年3回アミュゼ柏クリスタルホールにて開催する定期演奏会です。協会設立と共に始まった定期演奏会は、毎回企画や内容を工夫しながら100回を迎え、地域の皆様にご好評いただいています。また、これまでに「チャリティーコンサート」「柏市文化会館大ホールにおける協会創立20周年記念コンサート(柏市・沼南町合併記念事業)」「柏市主催こども芸術鑑賞会」等活動の幅を広げております。

定期演奏会には、毎回多くのお客様にご来場いただき、地域の皆様に支えられています。近年では、会員によるミニコンサートシリーズも始まり、より身近なところでクラッシック音楽を楽しんでいただけるよう、積極的に取り組んでいます。

(3)協会構成

年に1回のオーディションを経て現在、90名の様々な楽器の音楽家と、この活動を支援してくださる賛助会員により構成されています。協会員は、音楽家としての活動はもちろん、大学や高校など後進の指導、音楽教室の運営や指導、さらにオーケストラに所属するなどそれぞれの本業を持っています。私は現在、公立学校の教員をしながら協会員として、生涯学習音楽指導員として活動しています。

【3.コンサート内容】

今回、100回目のコンサートということで、アミュゼ柏設立20周年特別協賛事業として「柏市音楽家協会100回記念定期演奏会」を開催いたしました。終日にわたり老若男女、0歳児から大人まで多くの皆様に楽しんでいただけるよう4つの部分に分けて構成いたしました。

<スケジュール>

10:30~11:15 0歳からのコンサート(プラザ)
13:00~14:00 『組曲 動物の謝肉祭(サン=サーンス曲)』(クリスタルホール)
14:30~16:30 お気軽コンサート~クラシックもポピュラーも~(プラザ)
17:00~19:00 歌 ア・ラ・カルト~世界の歌と『歌劇 魔笛(W.Aモーツァルト曲)名場面集』~(クリスタルホール)

※画像をクリックすると拡大します。

<料金>

お客様それぞれに興味ある内容を自由に選択いただき(同上のスケジュールを参照)また一日中楽しんでいただいてもご負担を掛けない様、企画の段階から協議し設定しました。

通常の定期演奏会は、一般2,000円、高校生以下1,000円ですが、「0歳からのコンサート」は大人まで500円、他のコンサートは一般1,000円、高校生以下は500円という料金にしました。これは、良い音楽をより多くの方々に聴いていただきたいという協会の理念に基づいています。

<私の役割>

私は、クリスタルホールでの「動物の謝肉祭」の語り、司会と「歌 ア・ラ・カルト~世界の歌と魔笛名場面集~」での司会を担当いたしました。

(1)事前準備

演奏者は、各自が日々の仕事をしながら練習に励み、本番に焦点を合わせてゲネプロまでには完全に仕上げます。より良い音楽を創るという目的は全員同じなので、練習であっても真剣勝負です。その都度、会館のスタッフの方々は遅い時間にもかかわらず全面的に協力をしてくれました。終日コンサートですので、主演者も協会スタッフも、アミュゼ柏のスタッフの皆様も一回一回のコンサートを大切に、そして次に備えます。

(2)コンサート当日の観客の反応

私が司会をする「動物の謝肉祭」では、会場にいる子供たちの囁きが聞こえるたびに、楽しんで下さっているという反応が心地良く、ため息が聞こえてくると音楽に聴き入ってくれていることを実感します。「歌 ア・ラ・カルト~世界の歌と魔笛名場面集~」では、過去の演奏会で特に人気があり、リクエストの多かった歌を選曲しました。一曲終わるたびに沸き起こる拍手と「ブラボー」の声援は、出演者に至上の喜びを与えてくれます。

音楽は一瞬で消えてしまい余韻しか残らない芸術ですが、心の中に入り込むことできる特有の力です。「やはり音楽っていいな!」と実感する瞬間です。それがあるからこそずっと続けたいと私に思わせてくれます。

【4.広報活動について】

  1. 協会員自ら、駅周辺の大型デパートのチケット売り場やタウン誌への広報活動や地元の公民館や学校、企業を回り、チラシやポスターを配布
  2. 近隣の同様の場や音楽教室などへ巡回
  3. 企業や病院、柏市役所等でのランチタイムコンサートやミニコンサートの開催
  4. 幼稚園や小学校での演奏会の開催、芸術祭やクリスマスコンサート等の企画運営
  5. 協会員によるアウトリーチコンサート実施
  6. 市役所の文化課、教育委員会等行政とのコンタクト
この様な行動を通して次第に協会の存在と演奏家としての活動が広く理解され、以前より演奏の機会が増えました。一つ一つていねいに、心を込めて演奏活動を続けてきた成果も評価されたのだと思います。

【5.収支面】

最初は知名度も低く、集客状況も悪く、採算度外視の活動で始めました。しかし活動を継続していく上で資金面を意識せねばならず、まずはチケットを協会員全員が売る努力をする、そして団体や個人の賛助会員を募ることにしました。音楽に興味関心が高く理解のある方々に賛助会員になっていただき、現在は団体・個人合わせて14となっています。賛助会員の方々の応援が毎回集客にも繋がっています。企画が大きくなると、協賛金等も活用しています。

【6.行政との連携】

前述の、協会創立20周年記念コンサートは、私が協会の副理事長に就任してまもなく、柏市から演奏依頼を受けた(協賛金含む)初の大事業でした。柏市からは練習場所の提供や、広報活動、当日の会場準備から終演後までの人員の提供も受け、この事業を成功へと後押ししてくれました。あらためて行政の力の大きさを知ることになりました。

お陰様で、我々はコンサートのことだけを考え、演奏に専念することが出来た事は本当に幸せなことでした。それ以来、柏市教育委員会は私どもを後援してくださっています。アミュゼ柏設立のこけら落としの際にも協会員による演奏が行われ、現在アミュゼ柏は、柏市音楽家協会の活動拠点となっています。

【7.今後の活動について】

(1)協会員として

ここ数年は、年3回の定期演奏会の司会を通して直接お客様と触れ合う機会が持てることで大きな達成感を得ています。協会員として、これからも地域に根ざし、地域の方々に喜ばれるような活動と質の高い演奏会を提供していくために、仲間と一緒に日々努力しているところです。

しかし、今年世界中で頭を悩ませているコロナ感染症の為、2020年に入ってからの定期演奏会は延期され、ようやく9月に様々な感染拡大防止対策をとり開催となりました。協会も柏市およびアミュゼ柏のガイドラインによるコロナ感染拡大防止対策をしながら少しずつ活動を始めたところです。

(2)教員として、生涯学習音楽指導員として

演奏活動はもちろんですが、学校教育の場も同様のことが言えます。私は教員ですので少し学校教育現場について現状をお話いたします。コロナ禍の中、今まで普通にできていた事ができません。新しい授業方法を考え試行錯誤を繰り返しながら毎日を送っています。音楽の授業では最も感染リスクが高いとされている鍵盤ハーモニカやリコーダーなど吹奏楽器は使用不可、一斉の歌唱も不可となっています。最初は鑑賞を中心に学習を進めてきましたが、少し緩和されると、打楽器が中心とする音楽の授業が開始されました。

しかし、授業前後には手洗いが必須です。子供たちは音楽に合わせてつい歌ってしまうのをハミングに変えるなど、我慢をしながら授業をしています。ようやく最近少しずつ少人数で、また距離をとってのリコーダー演奏や歌など緩和されてきましたが、秋から冬にかけ、徐々に感染者数が増えてくるたびに、活動自粛の動きが高まってきました。今年は、全校児童・生徒が参加する行事は一部を除いて、ほとんど行われません。日常生活でも、多くの楽しみが減ってしまいました。

コロナ禍が世界中の全ての活動を妨げていますが、これまでのように自由に活動できる日を待ちながら自己研鑽に励み、協会員として、生涯学習音楽指導員として、そして教員としても、音楽を通して地域の皆様と共に生きることで社会へ貢献したいと思います。

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